一級建築士事務所 イーストサン株式会社
 

 


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大規模修繕工事の進め方-1

 マンション(区分所有)には、ご承知の通り「共用部分」が存在しています。このことが他の建物の修繕管理にはない最大の特徴と言えるでしょう。
 「共用部分」とは、単に場所や部位のことではなく、「所有権」のことであり、管理に関しては「建物区分所有等に関する法律(区分所有法)によって「集会の決議で決する」となっています。 つまり、「共用所有者の合意」によってなされるもので、ここが他の所有形態の建物とは大きく異なることです。
 そこで、大規模修繕工事を進めていくときに、特に大切なことは「大規模修繕は合意形成で始まり、大規模修繕は合意形成で終わる」という認識でしょう。

1.施工会社をどのような原理に基づいて選択するか?

1−1)選定例

管理組合運営の最大の問題は、どのような合理形成を作り上げていくか、
ということにつきる。そこで、大規模修繕工事を進めていくときに最も大切なことは「施工会社どのようにして選ぶか?」ということで、例えば

  1. 特定の人に一任する。
  2. 管理会社にお任せする。
  3. 新築した当時のゼネコンにお任せする。
  4. めぼしい施工会社1社に見積を提出してもらう。
  5. めぼしい施工会社数社に見積を提出してもらい、そこから選択。
  6. 施工を行わない、施工内社とは無関係のコンサルタント等に補助してもらう。

 上記のような選択肢が考えられる。

1−2)競争原理をはたらかすのか

施工会社を選択する場合、どのような方針をもつのかは多数の合意で決めればよいことで、何が正しいのかと言うことではありません。 ですが、ここで一つ考えたいことは、施工会社も選定にあたって「競争原理」を求めるのか、どうかと言うことである。区分所有者は多数存在しているから、何らかの競争原理を求める声はごく普通に存在する。1−1)例では、5と6が競争原理を導入していることになります。
 そこで、まず、管理組合の理事が考えたいことは、「施工会社の選定に競争原理を導入するか?」ということです。

Q1
大規模修繕施工会社選定に競争原理を導入しますか?
NO

YES

1−3)競争原理導入例

 では、競争原理の導入には、どのような形があるのでしょうか? それは、大きく分けて下記の三通りなります。

  1. 施工会社数社から見積書を提出してもらい、それを比較して決定する。
  2. まず、「設計図書(仕様書)」を作成し、それに基づいて競争する会社から 見積書を提出してもらう。
  3. 他〜・または・の変形(工事条件だけを決める/提案を受ける/他)

 1の方法は、従来多く行われました。しかし、工事の仕様(内容)や数量に違いがあることによって、実際に比較検討が出来ない状態になってしまうことがあり、いろいろなトラブルの基になりかねません。特に問題になった例としては「総工事金額だけで判断して決定したら、色々な工事箇所が抜けていて、それを契約金額外の追加工事として請求され、結果的に高い買い物になってしまった」というケースです。
 これを事前に防止しようとするのが2で、近年ではごく一般的に行っているもです。これは、工事の仕様(内容)や数量を共通のものにして競争するものです。誤解をしている人が意外に多いののですが、工事は内容で決まっているのではなく、その内容を選択するのであって、それは本来、発注者たる管理組合が充分に把握しているべきことです。自分たちが買う物を知らないというのは、チョット変だと思います。
 そこで

Q2
共通の土俵の上で競争していますか?
? or NO

YES

となります。

1−4)健全な管理組合

 そこで、改めて管理組合の運営に必要な原則について考えてみました。
それは、

  1. 公 正
  2. 公 平
  3. 明 朗

と言うことだろうと思います。


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